ぶどう造り・
ワイン造り

基本理念と想い

当方におきましては、大阪での醸造用ぶどう栽培に軸足を置いた事業展開を行い、その一環として、大阪ワイナリー協会に所属されておられる府下ワイナリー様への原料ぶどう供給に留まらず、クオリティーの高いぶどうによるスペシャルなワインを独自ブランドにて販売を行いながら、諸事業を研究機関や行政との連携をしつつ進めて参ります。

こうした考えの下、「ぶどう栽培の農業者」であることを主眼とし、自前のワイナリーを持たずに周辺のワイナリー様の助けを借りながら協業を図るのが当面のあり方と考えております。

かような考えに至ったのは、主に二つの理由がございます。

一つは、醸造用ぶどう栽培のレベルを少しでも高めることに集中したいからです。

日本の高温多湿な環境では、ワイン用ぶどう栽培を行うことは一般に困難とされています。 しかし、生食用で育種から栽培に関してこの国ではレベルの高い水準の技術を保っており、他の追随を許さないと思います。 それは、やはり収益性の高い果樹栽培の中でもぶどうは難易度が高いとされているにも関わらず、多くの篤農家さんが日々切磋琢磨されている賜物によります。

そうした能力が高いとされていても、醸造用ぶどうは収益性の問題等からどちらかと言うと「後回し」にされていた面があり、なかなか技術の高さを反映出来る機会がなかったと言えます。 これに加え、瑞々しさを求める生食用と凝縮感を求める醸造用とでは、同じぶどうでも目標が異なることから、栽培の方向性が一概に同一となり難い面でも生食醸造の両方面が交わることは少なかったと感じております。

しかし、近年日本ワインへの関心が高まって需要が要求される中で、環境的に醸造用への展開が厳しい状況でも、高品位の醸造用ぶどうをいかに供給できるかは、人材も限られていることから喫緊の課題です。 そのような事からも、収益性を踏まえつつ醸造用のぶどう栽培を少しでも確立させたい。 微力ではありますが、そうした願いがございます。

もう一つは、近隣のワイナリー様との協業という新しい形でも、ワインが世に出せるのではという考えです。

昨今は日本のワインが注目され、国内の果実酒醸造場は国税庁の最新の統計『酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和3年調査分)』からでも、400場をこえる勢いで、設立ラッシュが進んでおります。 そうした中で、既存のワイナリー様と敢えて「ライバル関係」となることは果たして得策なのか?という疑問も無きにしも非ずなところもあります。

もちろん、近年の世界を取り巻く様々な情勢が変化する中で、ワイナリー設立を目指している多くの方々の奮闘ぶりには敬意を表したいですし、そのために様々な労力を割かれている事は驚嘆に値します。

ただ、ワインを長年生産して来た西欧諸国の銘醸地を抱える産地と異なり、日本はワインに関わる産業を支えるインフラ面はまだ整っていない所が多く、市場も未発達であることから、販売だけでなく生産を支える周辺企業があまり育っていないのは事実です。

そこで、基盤整備に関してまだ発展中である日本では、既存の実績ある企業とコラボレーションするという形で進めて行くことでも、関わる人間や企業の層の厚みが出て来るのでは?と考えております。

多大な設備投資を必要とする酒類製造では、一社で何もかも賄おうとするのは大変ですが、農業者と醸造者のタッグは、分業による効率の向上と経営資源の集中という面でも考慮に値すると思われます。

ぶどう栽培・ワイン醸造を志したい…、そんな中でワイナリーを自前で設立する、それ以外の選択肢もあっても良いですし、「入口は一つではない」ことを示せすことを出来ればと、沸々と考えていたことを実現に移した。 そんな想いもございます。

以上、2点を挙げましたが、なにより私自身、野外の畑でぶどう栽培に取り組んでいることが、何よりも性に合っている、そこがこの2つの想いの根底にあるからだと思うのです。 農業って言われると、一般の人は様々なイメージを持っていますが、時には厳しい自然の摂理を目の当たりにし、為す術もないことはございます。 それに、綺麗事だけでは済まされないこともあります。

とは言え、隠と陽・光と影と様々な側面、そうした所でも営みを成し得て来たのが人間なので、収穫の歓びを直にあじわえる「一(いち)ぶどう屋さん」として徹したい…。 そんな素朴な想いを忘れずにいたいと思います。

まだまだ至らぬところもございまして、ご指導・ご鞭撻を賜りながらになりますが、時にはしっかりと、時にはぼちぼちと邁進して行く所存です。 よろしくお願い申し上げます。

質にこだわったぶどう栽培、そしてオリジナルワインへ

ぶどうのクオリティーを追求し、単なる「醸造用原料ぶどう」の域を超え、生食用にも勝るとも劣らぬ手間をかけ、丹念に育て上げたぶどうを醸した、当方を象徴するオリジナルブランドのスペシャルワイン。 それが、『M・A・I・D・O(ま・い・ど)』シリーズです。 その考えのベースについては、以下の通りになります。

栽培では、基本的な技術を重視し、ぶどうの生理や周辺の環境との兼ね合いを図りながら手を掛けております。 施肥は最小限ですが、農薬は必要に応じて用います。 しかし、昨今の有機農法と慣行農法の枠にとらわれず、立場を超えて「賢く使う」を信条に取り組んでおります。

ワイン造りにおいては、出来るだけ健全な発酵を心がけ、ベーシックながらも中身はスペシャル。 でも、「よっ、まいど!」とあいさつするかのように、気兼ねなく接して頂きたいという願いを込めた名刺代わりとなる銘柄として、多くの人々に愛されることを企図しております。

「何気ない、普遍の彼方にこそ、個性が見える。」

この言葉の下、毎年ブレぬ・媚びぬ・奇を衒わぬ(てらわぬ)上で、積み重ねて参る所存です。

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